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【鬼滅の刃:漫画】第1話のネタバレ感想(シーン別)|炭治郎に待ち受ける残酷な試練

本記事は、漫画『鬼滅の刃』第1話の各シーンを振り返りながら感想や考察を述べていく「シーン別のネタバレ感想」です。

各シーンについての感想が主ですが、たまに気になった設定・時代背景・元ネタなどについて調べたり語ったりなど、脱線することもあります。

すでに漫画を読んだ人は「そうそう、このシーンが良かった、感動した」など共感しながら読んでもらえたら。
まだ漫画を読んでいない人は、ぜひ単行本や電子コミックで読んでみてください。

目次

『鬼滅の刃』漫画の第1話「残酷」
シーン別ネタバレ感想

始まり

「なんでこんなことになったんだ」

そんなことを思うのは、焦りの表情を浮かべながら、血塗れの妹「禰豆子(ねずこ)」を背負った少年「炭治郎(たんじろう)」。

雪が降り積もる山の中、死ぬなよ、死ぬな、兄ちゃんが絶対助けてやるからなと、ひたすらに願いながら下山していく。

鬼滅の刃の第1話の記念すべき1ページ目です。
突然始まった、主人公とその妹の危機。

いったい何があったのか!?
そう思わずにはいられませんでした。

炭治郎と家族の生活

時はさかのぼり、場所も変わって炭治郎と家族が住む山の中の家。

カゴいっぱいの炭を背負い、麓の町へ売りに行こうとする炭治郎に、母が声をかける。

「顔が真っ黒じゃないの、こっちにおいで」

炭治郎の顔を拭いながら、雪が降って危ないから行かなくてもいいんだよと告げる母。

しかし炭治郎は、「正月になったらみんなに腹いっぱい食べさせてやりたいから」と、少しでも炭を売ってくると答える。

炭治郎は良い子やなあ、と感じた一コマ。

炭治郎とお母さんのとても良い親子関係を感じさせますね。

炭治郎のお母さんが、申し訳なさそうに優しげな表情で「・・・ありがとう」と言うのが、グッときました。
まだ少年の炭治郎に負担をかけているという申し訳なさかなぁ、なんてことを考えましたね。

炭治郎が町へ行くことを聞きつけた下の弟妹たちが、自分たちも町に行きたい、連れてってとせがむが、それを母がたしなめる。

それもそのはず、今日の炭治郎は荷車を引いて行かないため、下の弟妹たちを荷台に乗せたり休ませたりすることができないから。

また、上の弟「竹雄(たけお)」も、一緒に木を切るつもりだったのにと、拗ねた様子。

結局、弟妹たちはしぶしぶながら納得したのか、「早く帰ってきてね」「気をつけてね」と言いながら、出発する炭治郎を母と一緒に見送ったのだった。

ついて行きたい!ついて行きたい!と、炭治郎に抱きつきながらせがむ下の弟妹は、とても炭治郎になついていて、微笑ましいです。

ちょっと拗ねた感じの上の弟「竹雄」も、拗ねた理由が炭治郎と木を切りたかったから、というのがまた可愛らしいんですよね。

また、兄弟みんな顔立ちがそっくり!お母さん譲りの顔立ちをしています。
お父さんはどんな顔なのかなぁ。

特に目が印象的。
黒目の部分が真ん中から放射状に線が走っていて目力があります。

出発した直後、炭治郎は、末の弟「六太(ろくた)」を背負って寝かしつけていた禰豆子と出会う。

年長の妹らしく、自分もまた弟妹たちの面倒を見る立場の禰豆子。

「お父さんが死んじゃって寂しいのよね、みんなお兄ちゃんにくっついて回るようになった」

大人びたセリフを呟きながら六太の頭をなでつつ、炭治郎を「いってらっしゃい」と笑顔で見送る禰豆子だった。

炭治郎を含めた6人兄弟と母で暮らす、山の中の竈門家。すでに大黒柱の父は亡くなっています。

下の弟妹たちはまだまだ手のかかる子供なので、長男の炭治郎と、長女の禰豆子が世話を焼いている様子。

自給自足の生活をしながら、長男の炭治郎が麓の町へ炭を売りに行くことで生計を立てているようですね。

「ああ、貧しいけれども、ここには暖かい暮らしがあるんだな。ほっこり」と感じられる、炭治郎たち家族の団らんのシーンです。

冒頭で「兄ちゃんが助けてやるからな」と炭治郎に背負われていた禰豆子も、家族の中ではお姉ちゃんだったんだなぁとわかります。

生活は楽じゃないけど幸せだな

でも人生には空模様があるからな
移ろって動いていく

ずっと晴れ続けることはないし
ずっと雪が降り続けることもない

考えながら山を降りている炭治郎は最後に

そして幸せが壊れる時には
いつも血の匂いがする

そんな言葉を思い浮かべる。

麓の町

山奥の自宅から、麓の町へと降りてきた炭治郎。

すぐに町の人たちが暖かくあいさつをしてくる。

「こんな日に山を降りてきたのかい、よく働くねぇ
風邪ひくよ」

「この間は障子を張り替えてくれてありがとう」

するとそこへ、半ベソの少年が駆け寄る。
母だろうか、奉公先の女将さんだろうか、恰幅の良い女性に肩をつかまれている。

どうやら皿を割った犯人にされてしまい、鼻がきく炭治郎に身の潔白を証明してほしいらしい。

バラバラに割れた皿の匂いをクンクンとかぐ炭治郎。

「猫の匂いがする」

炭治郎がそう言った途端、女性は「あら猫なの?」と言い、少年は「ほらぁああ!!」「俺じゃないって言っただろ!!」と泣き叫んだ。

そんなこともありつつ、次々と町の人の手伝いを頼まれる炭治郎。家路に着く頃にはすっかり日も暮れていた。

山奥に住んでいて麓の町から離れて暮らしている炭治郎ですが、町では相当の人気者ですね。

割れた皿の匂いをかぐだけで猫の匂いがあるとわかる炭治郎は、かなりというかものすごく鼻が良い!
人間離れした鼻の良さ?ではないでしょうか。

その鼻の良さを町の人が信頼しているのもなんだかほっこり。
鼻の良さが町の人に知れ渡るエピソードなんかも読んでみたいところではあります。

また、少し前のシーンで「幸せが壊れる時にはいつも血の匂いがする」と考えていたりもしたので、炭治郎の嗅覚は単に「鼻がよくきく」というものではないような気がします。

ただ、ここで考えている「血の匂い」は嗅覚というより第六感といった方がしっくりきそうですが。

三郎爺さん

すっかり日が暮れたところ急いで帰る炭治郎。

そこへ、「お前山へ帰るつもりか」「危ねえからやめろ」と声をかけたのは「三郎爺さん」

平気だからと山へ戻ろうとする炭治郎へ「うちに止めてやるから来い」と伝える三郎爺さんは、最後に

「鬼が出るぞ」

と一言だけ。

炭治郎は、三郎爺さんの家に一晩泊めてもらうことになった。

三郎爺さん曰く、昔から日がくれると人食い鬼がうろつき出すから、夜に歩き回るもんじゃねぇ、とのこと。

「鬼は家の中には入ってこないのか?」と尋ねる炭治郎に「いや、入ってくる」と答える三郎爺さん。

それでも人が鬼に喰われないのは、昔から鬼狩り様が鬼を斬ってくれているから、らしい。

炭治郎はそんな話を聞きながら

三郎爺さん
家族を亡くして一人暮らしだから寂しいんだろうな

今度弟たちを連れてくるから

怖がらなくても鬼なんかいないよ
大丈夫

と三郎爺さんを気遣いつつ

でもそういえば
うちのばあちゃんも死ぬ前に同じこと言ってたな……

最後にそう思ったところで、眠りに就いたのだった。

麓の町から離れているらしい家に1人で住む老人「三郎爺さん」が登場しました。

ややぶっきらぼうで、あまり人付き合いが良いタイプには見えない男性ですが、炭治郎にかける声には、優しさがこもっているのが感じられてよきです。

そして三郎爺さんの「鬼が出るぞ」という言葉。

鬼!?

まあ『鬼滅の刃』なので鬼という存在があるのは想像できていましたが、三郎爺さんによると「人食い鬼」とのこと。

どこか影のある雰囲気をもった三郎爺さんは、家族を亡くしてから独り暮らしとのことですが、もしかすると家族を鬼に喰われてしまったのか・・・?という疑念がなきにしもあらず。

いや、だけど鬼に喰われた人がいる、というのを町の人が何も語らないのは変だよな、それじゃあ違うのかな、なんてことを思いましたね。

また、炭治郎が眠る直前の「うちのばあちゃんも同じことを言っていた」という言葉。

炭治郎たちが住むこの地域では、鬼の存在は今や老人しか知らないことなのか、ならばどうして人々は忘れてしまったのか、なんて考えも浮かびます。

鬼を斬って退治してくれる「鬼狩り様」というキーワードも出てきて、ますます物語が気になってきました。


三郎爺さんの年齢と大正時代の平均寿命

三郎爺さんは、見た目は気難しい感じの初老の男性、見方によっては疲れた感じの50代ぐらいに見える男性です。

老人?と言うにはまだ早い年齢かと思いましたが、そういえば鬼滅の刃の時代設定は大正時代(1912年〜1926年)。

立命館大学によると、”明治時代・大正時代は、男性の平均寿命は43才前後”とのこと。(出典:立命館大学のページ「定年制と平均寿命」
(ちなみに同時代の女性の平均寿命も、男性と同じように推移しています。男性より少しばかり長い程度。詳しくは引用先ページのグラフをご覧ください。)

とすると、現代人の我々からみて50〜60歳ぐらい?と感じる三郎爺さんは、炭治郎たちにとっては十分「爺さん」なわけですね。

それにしても、大正時代から100年ほどで、平均寿命は約2倍に伸びているんですよね。

人生は短いという言葉、現代ではやや「格言」というか「名言」の一部として使われることが多いですが、大正時代の人にとっては文字通りの意味を持っていたのだろうな、と思うところです。

絶望の帰宅

夜が明け、三郎爺さんに別れを告げて山奥の自宅へと帰る炭治郎。

幸せが壊れる時にはいつも
血の匂いがする

自宅に着いた炭治郎が目にしたのは、玄関口で血塗れになって倒れる「禰豆子」と「六太」の姿だった。

「どうしたっ!
どっ、どうしたんだ!!」

「何があった・・・」

家の中を見た瞬間、炭治郎は最後まで言葉を発せられなかった。

壁も障子も血だらけとなっていた部屋には、母と弟妹たちの無残な姿。

母ちゃん、花子

竹雄、茂

禰豆子、六太・・・

脂汗が止まらず、絶望の表情でそれらを見る炭治郎は、家族の名前を一人ひとり挙げることしかできなかった。

ああ・・・

このシーン、セリフがとても少なく、上述した炭治郎のわずかなセリフしかありません。
ほとんど情景描写だけ。

それなのに、その時の炭治郎の焦りや絶望が、ありありと伝わってきます。

血塗れで倒れた禰豆子と六太や、もはや生きてはいないと確信できる母や弟妹たち、それらを見る炭治郎の表情。

特に、仰向けになって炭治郎へ顔を向けて死んでいた弟「竹雄」の目が悲しい。
もはや生気の感じられない虚ろな目をしています。

他の家族はみんな顔を伏せていたり、目を閉じていたりする中、竹雄だけが目を見開いて死んでいるのです。

炭治郎は一体どんな気持ちで家族の遺体を見ていたのだろう、究極に辛かっただろうなと想像するだけで、こっちまで泣きたくなりました。

一縷の望み

場所は雪山、葉が全て落ちた林の中で、炭治郎は禰豆子を背負って歩いていた。

禰豆子だけまだ体にぬくもりがある
医者に診せれば助かるかもしれない

まだ生きている禰豆子を助けようと下山するためだった。

涙目になり、白い息を吐きながら「なんでこんなことになったんだ」と現状に困惑する炭治郎。

息も苦しく、足も重い体をなんとか前へ前へと進めながら、「絶対に禰豆子を助ける」その一心でひたすらに下山していく。

死なせないからな
絶対助ける

兄ちゃんが助けてやる

突然、禰豆子が大きなうめき声をあげる。

驚いた炭治郎は足を滑らせ、いくらか高さのある崖の下へ、禰豆子を背負ったまま落ちてしまう。

山を登って帰ってきたばかりの炭治郎を襲った悲劇から束の間、炭治郎はまだ息のある禰豆子を助けるため、また麓の町を目指します。

第1話の冒頭につながるシーンです。

「なんでこんなことになったんだ」という炭治郎の心境、おそらく誰であってもそうでしょう・・・

禰豆子を背負って両手がふさがっているため、あふれてくる涙を拭うこともできずに困惑する炭治郎を見ているのは辛い。

この場面、心も体も疲弊しているはずの炭治郎ですが、禰豆子を絶対に助けるという決意で、足を動かし続けます。

家族を全員失ったという絶望から一転、まだ禰豆子が生きていると知った炭治郎。
おそらく、最後の頼みの綱とばかりに、禰豆子を背負って下山するという決断をすぐに下したのではないか、と想像できます。

「不幸中の幸い」という言葉がありますが、炭治郎を襲った悲劇に関しては、あまりそぐわない気がしますね・・・
確かに、禰豆子がまだ生きているという事実は、家族みんなを失うという「不幸」の中では「幸い」と呼べるかもしれません。

しかし、この悲劇について語る際に「幸い」という言葉を使うこと自体が合わない、という気持ちがありますね。

まだ第1話を読んでまもないところでありながら、これだけ気持ちを揺さぶられる『鬼滅の刃』という作品。
この時点ですでに名作のかほりがします。

禰豆子の変質

崖へと落ちた炭治郎だったが、下が雪だったため事なきを得る。

ほっとしたのも束の間、背負っていたはずの禰豆子の姿を探してあたりを見回す丹次郎。

禰豆子は、すぐそばにうつむきながら立っていた。

「禰豆子、大丈夫か
歩かなくていい!!

俺が町まで運んでやるから」

禰豆子…と名前を呼びかけながらそばへと寄ったとき、顔をあげた禰豆子の表情は、
血管が浮き上がり、目が血走り、牙のような歯を剥いていた。

それはまるで・・・

炭治郎に噛みつこうと襲いかかる禰豆子。

とっさに斧の柄で受け止めた炭治郎は、三郎爺さんの言葉から思い出す。

「鬼だ」

禰豆子、恐ろしい形相になってしまいました。

瞳孔が開いて、明るいところの猫の目のように、黒目の真ん中が縦に細くなってしまっています。
ですが、可愛い顔は相変わらずだと思うのはぼくだけではないはず。

それから、崖に落ちた炭治郎がそばに立っていた禰豆子を見つけるシーンですが、「林の中でうつむいた禰豆子」の一コマだけ、何だかホラー色が強め。

ちょっとだけゾクっときました。

「暗がりの中で和服の女性がうつむいて立っている」という状況は、ホラーの定番ですよね。
『鬼滅の刃』は決してホラー漫画ではありませんが。

突然の影

地面へと押し倒された炭治郎は、牙が立った禰豆子の噛みつきを抑えながら考える。

禰豆子が人喰い鬼?
いや違う、禰豆子は人間だ、生まれた時から

だけど匂いが
いつもの禰豆子じゃなくなってる

でもあれは禰豆子がやったんじゃない

鬼となってしまった禰豆子だが、炭治郎は信じる。
家族を惨殺したのは禰豆子ではない。

その証拠に、禰豆子は六太をかばうように倒れていた、口や手に血はついていなかった。

そしてもう一つ
もう一つの匂いが

そこまで考えた時、禰豆子が異変を起こした。

体が大きくなったのだ。

力も強くなり、地面へ押し付けられていた炭治郎の肩がきしむ。

自分が他所の家で寝ている間に、みんなはあんな惨いことになってしまった。

痛かったろう
苦しかったろう

助けてやれなくてごめんな

心の中で家族へと謝る炭治郎は、せめて禰豆子だけは何とかしてやりたいと、力を振り絞る。

禰豆子
頑張れ禰豆子

こらえろ
頑張ってくれ

鬼なんかになるな、しっかりするんだ
頑張れ
頑張れ

必死に呼びかける炭治郎。

それを鬼の形相で見つめる禰豆子の目には、なんと涙があふれ始めていた。

しかし突然、そこに現れる別の人影。

禰豆子の首めがけて、何かを振りかぶる。

炭治郎はとっさに禰豆子をかばい、雪の上に転がった。

なんだ
誰だ

困惑する炭治郎に向き合った人影の正体は、「悪鬼滅殺」と彫られた刀を持つ青年剣士「富岡義勇(とみおかぎゆう)」だった。

鬼のようになってしまった禰豆子ですが、それでもただただ禰豆子をなんとかしてやりたいと想う炭治郎の気持ちに救われます。

これがもし、禰豆子が人のは全く違う異形となってしまっても、炭治郎は諦めないだろうな、と思えます。

炭治郎の呼びかけに対して、禰豆子が襲いかかりながらも涙をボロボロと流し、それにもらい泣きをする炭治郎を見ると、炭治郎と禰豆子の絆の深さを感じますね。

こっちももらい泣きしそう。

それから、家の中にあったもう一つの匂いと言うのが気になりますね。
それが真犯人で、鬼なのだとしたら「なぜ人が多い麓の街ではなく、わざわざ山奥の家を狙ったのか」という疑問が湧いてきます。


そして登場する青年剣士「富岡義勇」ですが、

誰だ!?このカッコイイ剣士!?となりました。

長髪で、大正時代の軍服みたいなものを着て、非対称の柄ものを羽織って立つ姿が何とも様になっています。

感情の起伏がなさそうな、冷たい瞳をした表情をしていますね。

いったい何者なのか。
鬼となった禰豆子に対して刀を振るということから、三郎爺さんが言っていた「鬼を斬ってくれる鬼狩り様」なのでしょうか。

必死の問答

禰豆子をかばって地面にへたりこむ炭治郎に、義勇は「なぜかばう」と問う。

「妹だ
俺の妹なんだ」

必死に主張する炭治郎に眉根を寄せる義勇。

しかし、ガァァッと叫び声をあげ続ける禰豆子を見てひとこと。

「それが妹か?」

何も言い返せない炭治郎は、駆け寄ってくる義勇から守ろうと、禰豆子に覆いかぶさる。

しかし、すでに炭治郎のそばに禰豆子の姿はなく、義勇に囚われてしまった後だった。

「禰豆子!!」

とっさに駆け寄ろうとする炭治郎だが、「動くな」と言われ、動きを止める。

義勇は言う。

「俺の仕事は鬼を斬ることだ
もちろんお前の妹の首も刎ねる」

炭治郎はたまらず、「待ってくれ、禰豆子は誰も殺してない」「家にはもう一つの匂いがあった」「みんなを殺し…たのは多分そいつだ」と訴える。

禰豆子は違うんだ
どうして今はそうなったのかはわからないけど

鬼じゃない、と必死になる炭治郎。

しかし義勇は「簡単な話だ」と一蹴する。

傷口に鬼の血を浴びたから鬼になった
人喰い鬼はそうやって増える

禰豆子は人を喰ったりしない、そう言いながらさらに訴えを続ける炭治郎は、
自分が禰豆子を人間に戻すから殺さないで欲しいと懇願する。

しかし、義勇は了承しない。

炭治郎がさらに「家族を殺した奴も見つけ出すから」「俺が全部ちゃんとするから」と訴えを続けたその時、義勇が刀を振り上げ、禰豆子に向けた。

「やめてくれ!!」

「もうこれ以上俺から奪うのは」
炭治郎の脳裏に、今はもう生きていない家族の姿が浮かぶ。

やめてください……
どうか妹を殺さないでください……

お願いします…
お願いします……

追い詰められた炭治郎がとった行動は、頭を地面にすりつけた、涙ながらの懇願だった。

禰豆子を剣士から守ろうと、とにかく必死になる炭治郎が泣けます。

あ、いや、実際に涙が流れると言うよりはこう、この時の炭治郎の気持ちに感情移入して心がキューっとなる気持ちでしょうか。

家族を何者かに殺され、ただ一人生き残った妹すらも、突然現れた剣士に殺されそうになる。

炭治郎に短時間のうちに襲いくる、あまりにもひどい出来事に同情を禁じ得ません・・・。

剣士の喝

涙ながらの懇願をする炭治郎。しかし、義勇は声を上げて非難する。

生殺与奪の権を他人に握らせるな!!

惨めったらしくうずくまるのはやめろ!!
そんなことが通用するならお前の家族は殺されてない

奪うか奪われるかの時に主導権を握れない弱者が
妹を治す?仇を見つける?

笑止千万!!

さらに、「弱者には何の選択肢もなく意志も尊重されない」「なぜ立ち向かわない」と、叱責を続ける。

あまりの苛烈な言葉に、口を開けなくなってしまった炭治郎。

そんな炭治郎を見ながら、義勇は思う。

泣くな、絶望するな
そんなのは今することじゃない

お前が打ちのめされてるのはわかっている
家族を殺され妹は鬼になり

つらいだろう、叫び出したいだろう
わかるよ

言葉には出さないが、心の中で炭治郎に理解を示しつつ、だが時は戻せないと続ける。

そして、義勇は炭治郎をさらに突き放すように刀を振り上げ、禰豆子の肩に突き刺した。

義勇に叱責され、打ちのめされた表情の炭治郎が哀れなシーン。

「義勇さん、もうやめてあげて!」と思わず言ってしまいそう。

しかし叱責する一方で、励ましのようにも聞こえる言葉をかける義勇さん。
さらには心の中では炭治郎に対して「わかるよ」と同情もしてくれています。

最初の印象は血も涙もない鬼殺しの剣士なのかと思いきや、熱いながらも慈悲のある心も持ち主なのだとわかりますね。

捨て身の策

義勇に肩を刺されてうめく禰豆子を見た炭治郎は、とっさに石を投げつける。

さらに斧を持って立ち上がり、雄叫びをあげながら義勇に向かっていく。

しかし。

感情に任せた単純な攻撃
愚か!!!

そんな評価をしながら、冷静に対処した義勇は、刀の柄で炭治郎を打ち据える。

気を失い、地面に倒れる炭治郎。
それを見た禰豆子は、ドクンと何かを感じ取る。

その時、義勇は炭治郎が斧を持っていないことに気づく。

斧はどこだ

すると上空から、ブンブンと回りながら何かが落ちてくる音。斧だった。

すんでのところで斧をかわす義勇。

炭治郎は義勇へと立ち向かう時、木の陰に隠れた瞬間に斧を上へ投げ、さらに丸腰を悟られないように手元を隠した状態で向かってきていたのだった。

炭治郎の行動は、決して感情に任せた単純な攻撃ではなかった。

義勇に勝てないとわかっていながらの、相討ち覚悟の捨身の策だったのだ。

自分の弱さを思い知らされていた炭治郎が、禰豆子の危機に際して義勇に立ち向かうシーン。

家事や兄弟の世話、炭売りの仕事など、これまで争い事などしたことがなかったはずの炭治郎が見せた、戦いの才能の片鱗が見えましたね。
もしかすると山の動物相手に狩りなどしていたかもしれませんが、罠を使ったりするでしょうから戦いとはいえませんし。

そんな炭治郎が見せてくれた戦いは、短い描写ながらも熱い展開でした。

義勇に立ち向かう前から斧という武器を手放す。そして自分が斬られた後に、空へ放った斧に義勇への反撃を託す。

そんな考えをとっさに思いつき実行してしまう炭治郎は、どこでそんなセンスを磨いたのでしょう。

『鬼滅の刃』が少年漫画である以上、今後はもっとバトル展開があるはずだとメタな視点から想定するわけですが・・・
今後の炭治郎の戦いが楽しみになってくるシーンでした。

鬼なのか人なのか

先ほど炭治郎が見せた行動に考えを巡らせていた義勇。

その時、禰豆子が義勇の拘束から抜け出し、炭治郎のそばへと駆け寄る。

あわや喰われてしまうかと思われた炭治郎だったが、禰豆子はただ、炭治郎を義勇から守るように立ち塞がるだけだった。

怪我を負い、鬼として「人を喰う本能」が強まる飢餓状態になっていながらも、炭治郎を守る動作をする禰豆子。

先ほどの炭治郎が見せた、捨身の策。

それらを見た義勇は

こいつらは何か違うかもしれない

そう感じ取り、ひとまず禰豆子を気絶させて炭治郎のそばへと寝かせるのだった。

禰豆子が炭治郎を守ろうと立ち塞がるシーンです。

義勇に気絶させられた炭治郎を見た瞬間に、禰豆子がドクンと何かを感じたのは、この伏線だったわけですね。

このシーンといい、炭治郎に呼び掛けられて涙を流すシーンといい、禰豆子は鬼になりながらも「人としての理性」が残っているんですねぇ。

この時点ではまだまだ鬼とは何なのかわかっていませんが、義勇の話を聞く限り、鬼は少なくとも「人は食糧」だと考えているのは確実です。三郎爺さんも人喰い鬼と読んでましたし。

また、義勇曰く、以前も鬼となった家族を守ろうとした人がいたとのこと。
その人も炭治郎のように「人を喰ったりしない」と言っていたが、しかし、喰われてしまったと。

そんな経緯があるから、炭治郎を守る動作をした禰豆子を見て、これは何か違うぞと感じ取ったのでしょうね。

富岡義勇の薦め

気絶してからどれだけ時間が経ったのか。

夜の闇とは違う真っ暗な空間の中、倒れた炭治郎の枕元では、死んだはずの家族が心配そうな顔で覗き込んでいる。

炭治郎の夢なのかすら、わからない。

置きざりにしてごめんね炭治郎
禰豆子を頼むわね

炭治郎の母がそう呼び掛けた瞬間、炭治郎は目を覚ます。

目を開けて最初に目に入ったのは、すぐそばで寝ていた禰豆子の姿だった。

起きたか

義勇が声をかける。

とっさに禰豆子をかばう炭治郎だったが、義勇は気に留めず

狭霧山の麓に住んでいる
鱗滝左近次(うろこだき さこんじ)という老人を訪ねろ

富岡義勇に言われて来たと言え

それだけ伝えると、最後に禰豆子を太陽の下へと連れ出さぬよう忠告してから、去っていった。

炭治郎が目を覚ます直前、真っ暗な空間で炭治郎を覗き込んでいた母と弟妹たちは、何だか物悲しげでした。

目を覚ました後の炭治郎がそれを覚えていないので、炭治郎の夢ではなさそうですが、では一体何だっだんだろう。という疑問が湧いてきます。

人は死ぬとすぐには天に召されず、しばらく地上をさまよって成仏する、なんて話をどこかで聞いたことがありますが、炭治郎の家族もそんな状態だったのかな。
なんてことを考えると、炭治郎の母も弟妹も、あまりに未練が多い最期だったろうな、と思わずにはいられません。
願わくば安らかに。

目を覚ました炭治郎が、すぐそばで眠る禰豆子を見て、静かに涙を流していたのはホロリときました。
無事で良かったなぁ、と。

弔いと旅立ち

禰豆子と共に、自宅へと戻ってきた炭治郎。

死んでしまった家族を家のすぐそばへと埋葬し、手を合わせる。

禰豆子も目を覚ましており、そばに立っている。
炭治郎を襲うようなことはもうないが、ぼーっとしていて上の空。

家族の埋葬を行ったと言う事実に、気づいているのかいないのか。

弔いを済ませた炭治郎は「行くぞ」と言いながら禰豆子の手をとり歩き出す。

離れていく家と、土の下の家族たち。

後ろ髪を引かれる思いで振り返りつつ、炭治郎は禰豆子と一緒に、狭霧山へ向かって走り出すのだった。

『鬼滅の刃』第1話のラストシーンです。

雪が降り積もる山の中、ぼつんとある竈門家のそばに立っているのは、炭治郎と禰豆子の二人だけ。

父はすでに他界しており、他の家族は皆殺されてしまった。
そして禰豆子も鬼となってしまった。

炭治郎の境遇が、あまりにも辛いものとなってしまったラストでした。

これは悲しい・・・。
雪景色の中で唯一、茶色の地面が露出しているのが埋葬場所、というのが何だか印象的です。

これからの炭治郎の人生はどうなるのか、そして禰豆子の人生は取り戻せるのか、続きが気になる秀逸な第1話でした。


『鬼滅の刃』
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